在日コリアンの虐殺宣言や爆破予告など、川崎市川崎区の多文化交流施設「市ふれあい館」を標的に続くヘイトクライム(差別に基づく犯罪)について、森雅子法相は24日、「ヘイトスピーチであり、断固許さない」と非難を表明した。参院法務委員会で有田芳生氏(立憲民主)の質問に答えた。個別の案件に法相が見解を示すのは異例。
森氏は年明けに同館へ送りつけられた脅迫年賀状のほか、新型コロナウイルスにかこつけ今月上旬、横浜中華街に届いた差別封書の文言を挙げ、「抹殺しよう、殺していこう、早く日本から出て行け、ごみだという文言はヘイトスピーチだ」と明言。「個別の事件への評価は適当ではないかもしれないが」と前置きした上で「このようなヘイトスピーチに対し、断固として許さないという姿勢を法務省は貫いていく」と述べ、非難と根絶に向けた態度を明確に示した。
森氏は質疑の当初「個別の事件への表明は難しい」と一般論を繰り返した。これに対し、有田氏は「公人はヘイトクライムに立ち向かう責任がある」と具体的な非難声明を求めた。
在日コリアン集住地区にあって、差別解消のために設置された同館への攻撃が地域社会に緊張を強い、利用者が激減するなど被害が継続している深刻な現状を紹介。「子どもたちは『なぜ在日だからといって殺されなければならないの』と訴えている」。川崎市長や市議会議長名による非難声明にも言及し、「生身の人間の苦悩を知るからこそ現場の警察官も懸命に捜査している。大臣にも人間の言葉を求めたい」と迫った。
踏み込んだ答弁について森氏は神奈川新聞社の取材に「本当に許されないと思った。特に子どもたちの話に胸が痛んだ」と話した。
この日の審議ではヘイトスピーチ解消法の発議者である矢倉克夫氏(公明)からインターネット対策を含む防止策を求められ、「ネット対策については国会の議論を見守っていきたい」と前向きな姿勢ものぞかせた。
神奈川新聞社
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